きっと、女の子には困らないんだろうな、なんて余計なことを考える。

私には関係の無いことなのに。

私が聞いたのに、吾妻さんからなかなか返しが戻って来ない。

──いつもなら、直ぐ返してくるくせに。

内心で悪態を吐いたとき、やっと吾妻さんが苦笑いで返してきた。



「気になる?」

「え」

「どうして知りたいと思ったの?」

「や、別に深い意味は……ただモテるんだろうなって、思っただけで……」

「そう」



もしかして、まずいところに触れてしまった?

変に冷や汗が滴る。

すると、吾妻さんは相変わらず苦笑いで居る。



「ごめんね。カウンセラーの決まりで、そういうプライベートなことは教えられないんだ」

「あ、そうなんですね。失礼なことを聞いて、すみませんでした」

「いいえ。ただの友人同士とかの関係なら、普通の会話なんだけどね」



そうだ、あくまで私はクライアントで、吾妻さんはカウンセラーだ。

その線引きを、越えてはいけない。

それに、きっと私自身、この人と深く親しくなってはいけない、そんな予感がする。

これ以上は、親しくなれない。

私を勘違いをさせるような、何てこと無い表情で、吾妻さんはこちらを見てくれているけれど。