「そんな恐い顔、しないでって。まさか、そんなことしないから。俺は紳士だよ?」
「初対面で……そんなこと、わかりませんから……」
「初対面でも、通じるところがある人、時々いない?」
「じゃあ……きっと、通じません。あなたと、私…………」
「ちょっと、ちょっとお姉さん!目が虚ろになってきてるよ。ちゃんと送り届けるから」
「家、実家です……から……ね……」
「本当に俺、信用されてないね!」
青年は苦笑いをして、後頭部を掻くと、店長の方を一度、チラッと見た。
すると、店長は私の正面まで来て、目線を合わせるように屈む。
「あの……こいつ、『吾妻 桐也』っていって、俺の高校の同級生なんです。馬鹿だけど、悪い奴じゃないんで。
それに、あなたがどうやって帰るのかは知らないけど、女の子一人で居たら危ないですから」
店長は私に説得すると、青年こと吾妻さんに向かって「な?」と確かめるように言っている。



