「う~ん。。」
《彼女のことは…、はっきり言って…苦手だ…

やたら…と、甘い声で語尾を伸ばした話し方をする…》


悠斗に、断りの連絡をしようとした時…

その、悠斗から着信があった…

『律っ! LINE、読んだ?』

「いま、読んだ。ムリ! 俺、今日、ばぁちゃんの法事あるから…」

『えー! 三枝に頼まれたんだけど…律、連れてくって!』

「ばぁ? なんで、勝手に? 大体、俺があの子、苦手なの、知ってるよな?」

『付き合って見たら、違うかもよ? スタイルいいし、可愛いし! 何より、胸、デカい!
お前、彼女いないじゃん!」

「……っ」
《確かに、そうだ…。彼女はいない…っ

いない…けど、ムリなモノだってあるだろ?


ここで折れたら…引きずり込まれるのがオチだ!》


律は、意を決して…

「とにかく! 今日は、ムリなの!
姉ちゃんに、夜まで外出禁止されてるから!」

『えっ? 六花さん、帰って来てるの? 今度こそ、ちゃんと紹介してよ』

「だから! それもムリっ!
あの人、エベレストよりも果てしなく理想は高いからっ!」

と、その言葉を発した直後…に、背中越しに凍えるような冷ややかな感覚に襲われた…

恐る恐る…振り返る…と。。

「誰が…エベレストよりも理想が高い…ですって…?」

凍えるように、冷ややかな声…

「…あ、やばーい!」

「アンタ! 無駄話してないで、さっさと支度しなさいっ!って言ってるでしょ?」

「すいませんっ!
すぐ、やります!」

即座…に、悠斗との通話を切った…

弁解…は、また後ほどすればいい…と、思った。



三枝 悠斗とは、高校に入学してからの友人だった…

地元の中学から遠い…高校を選んだのには、理由があった…

二つ年上の姉の六花が、その高校に通っていた…というのとあるが…

周りに、悟られたくないモノガあったからだ…


浅葱色の詰襟…に、慣れず…首元を緩めようとした瞬間…、誰かが後ろで襟元を引っ張っていた…

「ねぇ! 西園寺 律って、すげー名前してるね? 芸能人みたい!」

振り返った自分に、そぅ愛想よく笑いかけた人物…、それが佐伯 悠斗だった…

「あぁ、佐伯くん。そぅかな…」

「女どもが騒いでるよ。うちのクラスに、イケメンがいる!って」

「…そぅなんだ。 ありがとう…」

そぅ、営業スマイルを見せる律に…

「ヤバい! その笑顔にイチコロ!! 」

「…【イチコロ】って…?」
《面白い奴…っ

こいつのカラーは、紅色の赤か…っ。

悪いやつじゃなさそうだ…》

それが、出会いだった…