わたし、BL声優になりました

 やっぱり、駄目かと思っていると、黒瀬が頭を撫でやすいようにリビングの床に胡座をかいて、座り込む。

「はぁ……そんなに悄気るなよ。分かったよ、好きなだけ撫でろ。ただし、優しくな?」

「ありがとうございます、先輩」

 覚悟を決めたのか、黒瀬は目蓋を閉じてゆらぎを待つ。

 艶のある綺麗な髪の毛。

 あ、睫毛長いんだ。知らなかった。

 鼻筋高いなー。唇も薄くて、口角が上がってて綺麗な形をしてる。

 ゆらぎは撫でるのを忘れて、じっくりと観察する。 

「おい。撫でないのか。どっちなんだよ」

「え? もうちょっと待ってください」

「早くしろよ」

「はい」
 
 痺れを切らし始めている黒瀬をよそに、ゆらぎはゆっくりと彼に近づいた。

 そして──。

 自分からキスをした。

「なっ」

「好きです、英知さん」

 驚きで目を見張る彼に、ゆらぎは微笑み、気持ちを伝えた──。


【THE END】