わたし、BL声優になりました

 ……決して、ブランクがあった訳ではない。

 ゆらぎは、心の中で言い訳を並べる。
 
 まさか、初手から躓いてしまうとは思わなかったのだ。

 たった数行のナレーションだけで、こんなにも時間がかかってしまうなんて……。

 一気に意気消沈し、心が折れかける。

 休憩時間になり、少しだけ外の空気を吸いに行こうとスタジオを出た所で、誰かと衝突してしまった。

「す、すいません」

 慌てて謝罪をする。

「っと、あれ? ゆらぎちゃんだ。収録終わり?」
 
 聞き覚えのある声に、俯いていた顔を上げると、目の前にいたのは緑川だった。

「ウグイス先輩……」

「あー、もしかして監督に苛められた?」

 察しのいい緑川は、ゆらぎの暗い雰囲気に気付き、苦笑して冗談を言うも彼女の反応はいまいちだった。