「ヒロイン役の夏川ゆらぎです。よろしくお願いします」
スタジオ入りしたゆらぎは、監督やスタッフの人達に挨拶をしていく。
ああ、久し振りだ。この感覚。
不安と高揚感がない交ぜになった心中で思う。
今回の作品は原作のない、オリジナルアニメ作品。その為、役を掴むのにしばらくは苦労するに違いない。
けれど、ゆらぎは絶対に成し遂げてみせると、自身の心に決意する。
この作品の評価次第で、今後の声優人生が決まると言っても過言ではないからだ。
「はい、よろしくねー。この作品は、2クールだけど、世間の評価がよければ、第二期も検討している大掛かりなプロジェクトだ。気を引き締めていこう」
監督の挨拶に、スタッフ一同が背筋を伸ばした気がした。
「まず、夏川さんはナレーション録りからだね。それじゃあ、いってみよう」



