わたし、BL声優になりました

 緑川は受け取った台本をパラパラと捲る。

 台本の表紙には作品名の『ラブ・トライアングル』という文字が、ゴシック体で印刷されていた。

 緑川はこの作品のヒロインである、ゆらぎの彼氏役で、黒瀬はライバルという設定だった。

 現実とは真逆の役柄に、思わず笑ってしまう。

 そうか。作品の中では、僕が彼氏役なのか。
 これは神様からの情けか。救いか。

 今頃、彼女達も台本を受け取り、読み込んでいるだろう。そして、黒瀬は不満を洩らしているに違いない。

「放送期間は2クール。……楽しい毎日になりそうだ」

 緑川は独り言を呟いて、台本をゆっくりと閉じた。