わたし、BL声優になりました


「あ、お久し振りです。ウグイス先輩」

 レコーディングスタジオで、偶然にも緑川と遭遇し、ゆらぎは挨拶を交わす。

「久しぶりだね、しら──、えっと、ゆらぎちゃん」

 緑川は『白石』と言いかけて、彼女の本名を口にした。

 メッセージのやり取りはしていたものの、実際に会うのは、あの騒動以来だった。

 男装していた頃からは、想像もつかないくらい、ゆらぎは見た目が変わっていた。

 髪はショートボブで、明るめのブラウン。
 ほんのりと色づいているチークはサクラ色。
 リップクリームで潤った唇に、アイシャドウのラメで、キラキラと反射する大きな瞳は、吸い込まれそうなほど綺麗だった。

 緑川はそんな彼女の姿を見て、不覚にも二度目の胸の高鳴りを感じた。

 一度目は無論、男装時代の彼女。
 二度目は本来の姿をした彼女だ。