緑川は今回、黒瀬が新しい事務所に所属することも、白石が名前も姿も改めて、再デビューすることも、全て知っていた。
彼もまた、影ながらの協力者だったからだ。
冬馬さゆは現在、活動を休止している。
だが、それは表向きの理由だ。
本当の理由は、事務所移籍に関する暗黙のルールを逸脱した為だった。
冬馬さゆは、アイドル声優を売りとしているレインボープロダクションから、緑川が所属している大手ゴールドセブンへ移籍した。
緑川が彼女へ取引を持ち掛けたのだ。
もちろん、そのことが事務所にバレてしまえば彼の活動も危うくなるだろう。
けれど、そんな危険を犯してまで、緑川は冬馬さゆを事務所へ移籍させた。
彼が冬馬さゆから受け取ったのは、写真のデータと、今後一切二人に近付かないことを誓約させるものだった。
端から見れば、脅しているように思えるかもしれない。
だが、再び今回のような騒動を起こされては困るし、なにより再起しよう奮起している二人の邪魔以外の何物でもない。
緑川はいわば、監視役だ。
冬馬さゆがこれ以上、暴走し勝手な真似をしないようにするための。
緑川にとってはなんの得もない。
それでも、それだけのリスクを独りで背負ったのは、他ならぬ、ゆらぎの為だった。
「ほんと、僕って損だな」
彼もまた、影ながらの協力者だったからだ。
冬馬さゆは現在、活動を休止している。
だが、それは表向きの理由だ。
本当の理由は、事務所移籍に関する暗黙のルールを逸脱した為だった。
冬馬さゆは、アイドル声優を売りとしているレインボープロダクションから、緑川が所属している大手ゴールドセブンへ移籍した。
緑川が彼女へ取引を持ち掛けたのだ。
もちろん、そのことが事務所にバレてしまえば彼の活動も危うくなるだろう。
けれど、そんな危険を犯してまで、緑川は冬馬さゆを事務所へ移籍させた。
彼が冬馬さゆから受け取ったのは、写真のデータと、今後一切二人に近付かないことを誓約させるものだった。
端から見れば、脅しているように思えるかもしれない。
だが、再び今回のような騒動を起こされては困るし、なにより再起しよう奮起している二人の邪魔以外の何物でもない。
緑川はいわば、監視役だ。
冬馬さゆがこれ以上、暴走し勝手な真似をしないようにするための。
緑川にとってはなんの得もない。
それでも、それだけのリスクを独りで背負ったのは、他ならぬ、ゆらぎの為だった。
「ほんと、僕って損だな」



