わたし、BL声優になりました

 自分から催促しておいて、反応を見せてくれないのは、正直ズルいと思う。

 ゆらぎは、黒瀬の大きな手のひらを両手で掴み、ゆっくりと引き離した。

 目の前には赤面した黒瀬の表情。

 互いの視線が交差し、一瞬、時が止まったような気がした。

「……見るなって言ったのに。悪い子だな、お前は」

「お前じゃなくて……ゆらぎ、です。先輩も言ってください。こんなのフェアじゃない」

 意を決して、ゆらぎは黒瀬に言う。

 自分でも、こんなに積極的にものを言えるとは思わず、驚いた。

「ゆらぎ。好きだよ」

「っ!」

 真正面から好きだと言われると、それだけで次の言葉も何も言えなくなってしまう。

 そもそも、こういう甘い空気に展開に、慣れていない。

 勝ち目なんて、最初からなかった。

「ゆらぎは?」

「す、好き、です……」

「うん、俺も」

 黒瀬は満足気に微笑み、ゆらぎを引き寄せ、深い口づけを交わした。

 後はもう、なし崩しになるだけだった。