わたし、BL声優になりました

 ゆらぎは至近距離で黒瀬の顔を覗き込んでいたことを思い出すと、途端に恥ずかしくなり、ゆっくりと離れようとした。

 遠ざかっていくゆらぎの腕を黒瀬は躊躇いながらも、そっと掴む。

「行くな……」

 切なげな声と共に引き寄せられ、ゆらぎは黒瀬の胸に飛び込む形で、抱きしめられた。その手は少し震えていて、黒瀬が緊張しているのが分かった。

 拒絶されてしまったらと思うと、怖くてたまらなかった。

 それでも、言えずに後悔してしまうくらいなら、全て伝えてしまおう。

「先輩……?」

「ずっと、会いたかった……。会えなくなって1ヶ月くらいしか経ってないのに、こんなにもツラくなるなんて思ってなかった。

 俺、お前が好きなんだよ。だから、俺を置いて何処かに行かないでくれ。……そばに、居て欲しいんだ」

 繋ぎ合わせた言葉は震えていた。