「ファンクラブとかいう人たちが、整理券配ってたよ」
「うわぁ、イケメンって大変なんだね」
うん、まぁね。湊川が曖昧に呟く。
「でも、ほんとに好きな人にはもらえてない」
「えっ!そうなの!」
あんなにたくさんの人からもらってるんだし、好きな人からももらったと思ってた。
でも、考えてみると確かにそうだ。
両想いだったら、湊川が付き合おうと言わないわけがない。
とっくのとうにカップルになって、学校中を騒がせていただろう。
「誰なの?湊川の、好きな人」
プチトマトを箸で持ち上げ、尋ねる。
「誰だと思う?」
「……蘭?」
よし、あたしが仲良しな人を片っ端からあげていこう。
「違うよ」



