「……湊川、あの」
顔が近づいてきて、躊躇いがちに声をかける。
あぁ、これキスだなって思ったから。
……35センチ分、顔をさげないでいいよ。
あたしも背伸びをするから。
あたしが背伸びをしなくても届くくらい、背が高くなるから。
そしたら、いっぱい抱きしめて、いっぱいキスしてね。
そう伝えたかったけど、唇同士の距離はどんどんなくなっていく。
「……っ、湊川!」
胸をぐっと押して、キスを拒む。
しゅんとした表情をするから、悪いことをしてしまったように思えて、ドキドキする。
「ここ、学校だからダメ!」
「……キス、ダメなの?」
「ダメ!!」



