「遥瀬だよ、バカ」
嘘。嘘だ、こんなの。
「……あたし、湊川のことを男子だと思ったことなかったぁ」
涙が出る。景色が、うっすらぶれてきたよ。
キラキラ輝いてるみたい。
「“湊川は背が高くていい”って話してたんじゃないの!?
それ聞いたから、自信もってこんな行動に出てるんだけど」
「それは……蘭が、ね」
そういうと、湊川は頭を抱えた。
「まじかぁ……」
恥ずかしそうに耳のうしろあたりをかく。
「……でも、あたし、付き合うなら湊川がいいなって思ってるよ」
「……えっ!?」
振り向いた湊川の顔には、希望がきらめいていた。



