「蒼〜!」

「なんだ、柚葉か…。」

「なんだとはなによ!蒼が一人で寂しそうに歩いてるから、わざわざ私が声をかけてあげたんでしょ!」

まわりに聞こえるくらいの大声で、そう言いながら駆け寄ってきたのは、小さい頃からの幼馴染である…『香藤 柚葉カトウ ユヅハ』だ。

(どうせ、単に暇してたからだろうに…。)

「あっ。今、失礼な事考えたでしょ!」

「…別に。」
(こういう所は変に鋭いんだよな…)

「何よ、今の間は。」

「……スルー(返事すると余計面倒いので、放っておく。)」

「あっ!もうっ!!そうやって、めんどくなるとすぐ、スルーするんだから…。」

まだ隣で柚葉が何か言っている気がするが、何処かぼんやりと…これから3年間こんな平凡な毎日が続くんだろうと思っていた。




割とすぐにそんな考えが覆されるとも知らずに。