「弟の様子を見に来るついでに
読み聞かせのボランティアをやってる
って訳!」

學は振り返ってニッと笑った

「そう、なんだ…」

どんな反応をすればいいのか
分からなくて曖昧な返事になってしまった

「なんでお前がそんな顔すんだよ」

「だって…」

じゃあ、どうして…

どうして…


そんなに辛そうな顔をするの?


「お前もここに入院してるのか?」

しんみりとしてしまった空気を変える為
なのか學が聞いてきた

「うん…私も學の弟さんと一緒で
産まれつき心臓が弱いんだ…てかさー
學って以外と優しいんだね!」

學の反応が怖くて話を別の方向に向けた

「ん…そうか?」

「だって、弟さんのお見舞いよく来て
あげてるんでしょ?」

「あぁ。もしも何かあったら困るからな」

「そっかー。私は…」

と言いかけたところで辞めた

親の事を思い出してしまったからだ