「ご、ごめん…」

少しバランスを崩した學を見て謝った

怒ってるかな…?

恐る恐る學の方を見てみると

「あ!なに笑ってんの!」

肩を小刻みに震わせて笑っていた

「ごめん。反応が面白すぎて…ククク…」

謝ってるのに笑っているという
矛盾した行動をする學

「そーだ!」

私はずっと聞きたかった事を思い出した

なんだ?って顔をしながら私を見る學

「學ってなんで本の読み聞かせ
やってたの?」

私の質問に対して少しの沈黙の後に
學が口を開いた

「俺の弟がここの病院に入院してるんだ」

「え…?」

思わず聞き返してしまった

「産まれた時から心臓が弱くてな…」

そう言いながら、學は立ち上がり
フェンスの近くに歩いて行った

私は座ったまま黙って學の背中を
見つめる

だから、今學がどんな顔をしているのか
分からない…