「南乃花ちゃーん。朝の検温の時間よー」

朝、原さんか起こしに来た。
変わらない毎日の生活

…なのに

─この生活もあと1年、か…─

「どうしたの?南乃花ちゃん。
暗い顔しちゃって」

「あ、いえ。なんでもないです!」

と言って笑顔を向ける

「そーいえば。これ。南乃花ちゃんに
渡してくれって頼まれてたんだった!
はい。どーぞ。」

「…誰からですか?」

私がそう聞くと原さんは目をキラキラさせ

「んもー。隠さなくても良いのよー。
あのイケメン君は南乃花ちゃんの
“彼氏”なんでしょ?」

ニヤニヤしながら私を肘でつついてきた

「え、彼氏?なんかの間違いですよ
私に彼氏なんていませんよ」

実際そうだ
病院の敷地外になんて出た事が1度も
無いんだから

彼氏が居たら私の入院生活も何かしら
変わったりするのかな…

「南乃花ちゃんホント照れ屋さんね」

なんて言いながら部屋を出て行ってしまった

「まったく人の話を聞かないんだから。
って…え?何これ」

原さんから受け取ったものを改めて見て
びっくりする

それは

花束だった

ディモルフォセカとミムラスの小さな花束



にしても…

誰がこんなものをくれるのか
私には心当たりがなにも無かった