緑のダム。

水守市は低湿の土地であったが後方に山を有しその森を慎重に守ってきた。

それは水源として山の植物と地下水が重視されたためであった。

その山が水守市に冷たい空気や水を送る。

「はあ」と長月遥。息を吸う。道路を自転車で進み山に入る。

沢でザリガニ探し。夏だ。


吉備山はその山塊の一部であった。

昆虫がいる。

山から水が海にやってくる。無機質、つまり栄養塩も含めて。

植物も動物も山々や海、川に適応しているのだ。