・夢の挫撤。

チャイムが鳴っている。
イデアルはうたた寝から目覚めた。

リンネと長月遥が将棋をしていた。
携帯ゲーム機で。

「どうされたの?」とイデアル。

「夢を見てた。
両親の夢だ」とイデアル。

イデアルは両親を飛行機事故で失っている。

「いい両親でしたね」と口調を改めて長月遥。


「確かに」とイデアル。
夢の中で本を探していた。
イデアルの両親はそれに気づかない。

重い疲労があった。夢の挫撤(さてつ)

(しかし将棋を教えてくれたな)とイデアルはそう思う。