・秋分の日。

草紅葉(くさもみじ)だ。

イデアルと俺、長月遥はだらだらと水守市(みずもりし)の郊外、湿地帯(しっちたい)や田んぼ、畑の近くのあぜ道を歩く。

「色づいた草木が綺麗だなあ」とイデアル。「そういえば、草木染めをしたいなって」と長月遥。

「えー。
何の草を使うの?」
「そういえば、それまだ決めていないですよね」のんびり会話する。

長閑(のどか)

図書館で調べることを約束する。

千年と果つることなく。
恒久(こうきゅう)の歴史だ。(寄せては返す、寄せては返す)
吉備山(きびやま)が見える。

水辺(みずべ)で釣りでもしたいな」とイデアル。「いいですね、それ」と長月遥。

気兼ねなく会話をする。
そして、それが一番したかったのだろう。とそう俺は思う。