その瞳は、深紅の色に染まっていた。
告げられた言葉に、アルジーンは、はっとする。
ランディは、それ以上何も告げずにくるり、と私の方を見た。
「ごめん、レイシアちゃん。君を送って行けなくなった。今からスティグマよけの魔法陣を張っていく。きっと屋敷の中は無事だろう。純血の血を持つ君も、アルジーンとここにいた方がいい」
胸元から“魔除けの紙”を取り出したランディに、思わず駆け寄る。
「一人で行くのは危ないわ!旦那様の血の匂いを追うくらいなら、私にだって…!」
私の声に、ふわりと笑うランディ。
穏やかで優しい彼の声は、覚悟を決めたような響きだった。
「ダメだ。君を連れては行けないよ。レイシアちゃんを傷つけたら、僕、きっとシドに撃ち殺されちゃうから」
屋敷の床に広がる魔法陣。
ランディは、ゴードルフが消えていった窓枠へと足をかける。
それは、一瞬のことだった。
窓から飛び降りた青年は、私が引き止める間も無く夜の市街へと消えていく。
「ランディ!」
私は、窓から身を乗り出してそう彼の名を呼んだが、彼からその返事が返ってくることはなかったのだ。



