彼は妙にするどいらしい。聞きたいこととは、このことだったのか。
全てを見透かしたような瞳に、私は小さく息を吐いた。
「シドは、お仕事のために私と一緒にいてくれるの」
「仕事?」
「私が、“薔薇の廃城の生き残り”だから」
はっ!と目を見開くランディ。
夜風に吹かれた庭園の花が、ざわざわと小さく音を立てた。
今さら隠し立てする必要もないだろうとこれまでの経緯を説明すると、彼は苦笑してベンチの背にもたれかかる。
「なるほどね。地下水路での彼の身のこなし、どうりで普通じゃないと思った」
「シドはマーゴットの頼みを聞いて、私を守ってくれているの。もちろん、私がねだれば血だってくれる。…確かに、普通の旅仲間じゃないかもね」
漆黒のコートに身を包んだ彼の姿を、不意に頭の中に映し出す。
いつも素直になれなくて暴言ばかり吐く彼も、何だかんだ私を甘やかす“相棒”なのだ。
「僕はてっきり美男美女同士の恋人かと思ったけど、まさかそんな関係だったとはね。さしずめ、シドは姫である君を守る“騎士”ってとこか。…それにしても、レイシアちゃんにだけ血を吸われるのを許してるだなんて、シドも隅に置けないな」
「それ、シドには言わないでね。きっと殴られるから」



