突然の展開に、つい声を上げた。
彼は相変わらずクールな顔でこちらを見つめている。
「シド、一緒に行かないの?」
「バァカ。なんでわざわざ男の誘いに乗らなきゃいけねえんだ。“逢い引き”なら一人で行け」
別に、私とランディはそんな関係じゃないのはシドも承知のはずだ。
絶世の美女が誘ったならばついていくのか、…と、今はそんなことを言っている場合じゃない。
ぷい、とそっぽを向いた彼に、私はついムッとする。
「何拗ねてんのよ。私がランディに会いにいくのがそんなに気に入らない?」
「あ…?」
突然、ギロリとこちらを睨んだシド。
“拗ねている”の一言が、心の底から心外だったらしい。
もちろん、それは言葉のアヤだ。ただの旅仲間関係の私が男に会いに行こうが、シドが嫉妬するはずないことは分かっている。
しかし、私の予想以上にその言葉はシドの胸に突き刺さってしまったらしい。ムッ、とした彼は不機嫌オーラを撒き散らし、ガチャッ!と私の部屋を出ていく。
「朝まで帰って来なくても、俺は絶対迎えになんかいってやらないからな」
ーーバタン!!
遠ざかっていく足音に、私はふぅ、と息を吐いた。
なぜかいつもより機嫌が悪そうだったが、それはきっと私の気のせいだろう。
こうして。私はシドの忠告を無視し、ひとり、ベイリーン家の屋敷へと向かうため宿を出たのであった。



