しぃん、と静まり返る部屋。
苦笑した私は、思うところがある様子のランディにぽつり、と答える。
「…後悔はないわ。お兄ちゃんから、シドが意識を取り戻したって聞いたし。両親の仇を討った今、もう思い残すこともないから」
彼は納得のいっていない様子だが、私の答えを聞くと、それ以上は何も言おうとせず、静かに眉を下げた。
「おぉ、レイシアさん。ドレスはぴったりだったようだな。よかった」
その時、ノックをして部屋に入ってきたのはセオドルフ王である。
義理の父親の登場に、つい背筋が伸びた。
「ありがとうございます、色々用意して頂いて…」
「なあに、気にすることはない。君は、我がベネヴォリにとって大切な人だからな」
すると、セオドルフ王はそっとランディに目配せをした。それに気がついた彼も、こくりと頷く。
きょとんとしていると、セオドルフ王はにこりと微笑んで白い髭を撫でた。
「そうそう、式の準備が整ったと伝えに来たんだ。客人の参列も終わったようでね。…式場の廊下でルヴァーノ君が待っているそうだから、準備が出来たらおいで」
「わ、わかりました」
急に緊張感が増す。
すると、部屋を出て行く間際、セオドルフ王は、くるりと振り向いて小さく告げた。
「そうだ、言い忘れていたが…。レイシアさんには先に謝っておこう。本当にすまない」
「え?」
「いや、気にするな。…では、式場で待っているぞ」



