大きく目を見開いたシド。
言葉が出ない。
確かに、傷の治りも早く体も軽い。これらは全て純血の持つ力の作用のようだ。
ランディが微笑んでシドに告げる。
「出血多量で死にかけてたシドに、レイシアちゃんが自分の血を分けたんだよ。ルヴァーノさんの手術が成功したのは奇跡だね」
自分が気を失っている間に起きた出来事に頭が付いていかないシド。
しかし、この場にいない彼女の姿に気づいたシドは、ぱっ!と起き上がって声をあげた。
「レイシアは…っ、レイシアは今どこに…!」
すると、目を細めたルヴァーノはと窓の外を指差して答える。
「レイシアは城だ。ベネヴォリに帰ってきた日からずっとな。今は準備に追われてるだろうよ」
「準備?」
きょとん、とするシド。
ため息をついたルヴァーノは、表情一つ変えずにさらりと続けた。
「明日はタンリオットとの結婚式だからな」
息が止まるシド。
微動だにしないルヴァーノ。
二人を見つめるランディ。
「はぁっ!?結婚式?ふざけんな!!」
「騒ぐな。他の患者もいるんだぞ」
ぴしゃり、とお説教をするルヴァーノに数秒遅れて脳に情報が届いたシドは、ぐっ!と眉を寄せた。開いた口が塞がらない。
ルヴァーノはカルテを置いて小さくぼやいた。
「どこかの死に損ないが、レイシアが生きてることをセオドルフ王に知らせちまったからな」
「俺のせい、って言いたいのかよ…!」
「他に誰がいる!このポンコツが!」



