ヴァンパイア夜曲


**


小さな電子音が響く診療所。

ベッドの上で、碧い瞳がゆっくりと瞼を開ける。


(ここ、は…)


ぼんやりとした視界の中、はっとこちらに気づいたランディが、目を見開いて声をあげた。


「シド…!よかった!気がついたんだね…!!」


そこは小さな病室だった。

ベッドサイドに腰掛けていたランディは、緊張から解き放たれたように深く息を吐く。

窓の外は真っ暗だ。


「俺、夜まで眠ってたのか…?」


「何言ってるの!!一週間も眠ったままだったんだよ!」


ふくれっ面を見せるランディ。

どうやら、ローガスの居城から戻った後、だいぶ時間が経ってしまっているらしい。

体には包帯が巻かれ、腕にはチューブ。

しかし、体の感覚ははっきりしていて血の通っている温かさもある。足や指もちゃんと動かせるようだ。


「気がついたか」


その時。コツコツと白衣の青年が歩み寄ってきた。耳元に光る彼のピアスがシャランと揺れる。


「ルヴァーノ……」


「気分はどうだ。吐き気はあるか?」


メガネを押し上げたルヴァーノに、シドは胸を撫でながらぽつりと答える。


「体は思ったよりも楽、というか…。むしろ、いつもより力が込み上がってくるような…」


すると、戸惑うようなシドの答えに、ルヴァーノはさらりと言い放った。


「そりゃそうだ。君の体には、純血であるレイシアの血が流れているからな」


「!!」