ヴァンパイア夜曲


「何を言ってるんだ、レイシア…!そんなこと出来るわけないだろう…!!」


初めて私に声を荒げたルヴァーノ。

私が引く気がないと見るや否や、冷静を装って早口で続ける。


「もしも奇跡的に合ったとしても、この男は人間だ。ヴァンパイアの…ましてや、純血の血なんて輸血したらこいつはどうなるか…!」


「でも、このままじゃシドは死ぬ!」


はっ!と目を見開くルヴァーノ。

声を詰まらせた彼に、私は縋るように告げた。


「シドを死なせたくないの…。お願い、お兄ちゃん……」


この世に神さまなんていない。

自分の大切な人を救えるのは生きている人だけ。

いくらシドの命を救ってと祈っても、それは自分の気休めだ。その時間さえ、今は惜しい。


その時、ふいに立ち上がるルヴァーノ。

ぱちりとまばたきをした瞬間。私の目から流れた最後の涙が頬を伝った。


「レイシア。自分で歩けるね?」


「え…?」