ヴァンパイア夜曲


ウォルマーの言葉に、頭が真っ白になった。

今、シドの目の前にいるのは、自我を持ったスティグマ、ローガス。あまたの純血を飲んだことで再生力も戦闘力も桁違いに強い。

並みのスティグマを相手にしているわけではないのだ。

ルヴァーノが近くにいるからと言って、庇い切れるわけではない。今更逃げることさえ出来ないだろう。

つまりシドは今、何の力も持たない子ども同然。すぐに殺されてもおかしくはない。


「シドが……、死んじゃう…?」


言葉にした瞬間、急に恐怖心が押し寄せた。

嫌な予感が現実味を帯びる。

カタカタと震える私の指を、ランディがそっと握りしめた。

ここにシドはいない。ランディが駆けつけるにも遠すぎる。私には守る力もない。


(どうすれば…、どうすれば、シドを救えるの!?)


混乱の中頭を抱えた

その時だった。


『…あぁ、そうだ。もう一つ頼みが。それをここに転送してくれ。城に向かう前に必要なんだ』


脳裏をよぎる過去のシドの声。

それはかつて、通信機に向かってシドがこそこそ指示を出していた時の言葉。あの夜の光景が、パァッ!とフラッシュバックする。


「あの!ウォルマーさん!新しい拳銃をここに転送出来るんですよね…?」


『え…っ!』