ヴァンパイア夜曲


ふっと小さく笑みを返すシドに、わずかに口角を上げた兄も拳を構えて叫ぶ。


「残りの奴は俺について来い!スティグマに堕ちた同胞は、残らず天に還せ!」


「「「おおおおっ!!!」」」


一瞬で深紅に染まる瞳。

目にも留まらぬ速さで大地を蹴ったルヴァーノは、迫り来るスティグマの群れへと飛び込んだ。

戦闘能力の格が違う。

私と別れた後の兄が十年の間に培ったものは、計り知れないほどのものだった。


その時、体に柔らかな布がかけられた。

はっ!として見上げると、綺麗な薔薇色の瞳と目が合う。


「エリザさん…!」


「怪我はない?サザラントの事件以来かしら」


見惚れるほど綺麗な彼女が私を優しく撫でた。

私の顔色にほっ、と胸をなでおろしたエリザは、私を庇うように立つシドに向かって素早く告げる。


「ローガスの居城はこの先よ。ここらのスティグマはノスフェラトゥに任せて、団長に続いて先を急ぎましょ。」


「あぁ…!」