「レイシアちゃん。君はこの先どうするんだい?」


「え?」


その時。ランディの声に、私はぱちりと瞬きをした。

彼は翠の瞳を細めて静かに続ける。


「君の旅の終着点は、“お兄さんに会うこと”だろう?」


「…!」


はっ、とした。

確かに、初めはそうだった。

修道院を出て行き場をなくした私が拠り所にしたのは、10年前に消息を絶った兄。きっと、兄に頼めばこの街で暮らすための家くらい容易く手配してくれるだろう。

ーーだが、私は修道院を出た頃の私のままではなかった。


「…ついていきたい。」


「「!」」


「私は、シドに血をもらわないと生きていけないから。」


驚いたように目を見張る二人。

ーー私の旅の目的は、兄と会うことだけだった。…でも、今は“仲間”がいる。自分の気持ちにも気づいてしまった。


“シドと離れたくない”


旅が終わってしまえば、きっと二度と会えない。グリムリーパーのシドは、死と隣り合わせの危険な環境に常に身を置いているのだ。いつ会えなくなるかも分からないのに、自分からその手を離すわけにはいかない。