ーーぎゅっ…!
温もりを確かめるように再び私を抱き寄せた兄。
服越しに確かに伝わる体温。この体には、私と同じ純血が流れているんだ。
10年ぶりに会って全く知らない人に成長しているはずなのに、どこか懐かしい。
…と、その時。
耳元で聞こえたのはっ!と何かに気がついたような彼の息遣い。
素早く私から離れた兄を見上げると、ルヴァーノは動揺を隠しきれないように口を開く。
「レイシア。お兄ちゃんがあげた“ロザリオ”はどうした…?!」
「えっ…!」
「修道院を出るときに、俺のを首にかけてあげたよね?あれは吸血欲を抑えるものだと教えたはずだろう?」
鬼気迫る表情に、ついどきり!として目を泳がせる私。返答で、何かを間違えれば“終わる”気がする。
「えぇっと…こ、壊れちゃって…」
「“壊れた”?!あのロザリオが?!」
「色々あって、スティグマに襲われた時に…」
さっ、と顔から血の気が引くルヴァーノ。
まずい、襲われたことは言わないほうがよかったか。
しかし、ここから何とか兄が納得するような良い方向へ立て直そうとした私は、思わず口を滑らせる。
「だ、大丈夫よ!心配しなくても…!ロザリオがなくても、今はシドが血をくれるから…」
「…“血”……?」
(…!!!……ヤバイ……!!)
フッ、と表情を一変させる兄。
頭の中で鳴り響く“シド終了”のお知らせ。
こちらの会話が聞こえない様子の旅仲間二人組だけが状況を掴めず、きょとん、としている。



