はっ、と息をしたその時。彼は肩を掴んだまま静かに私を離す。
動揺に揺れる瞳が、まっすぐに私を映していた。
「…レイシア…?本当に、レイシアなのか…?」
「うん。私、レイシアだよ…!」
「な…何で、ここに……!」
「お兄ちゃんを追いかけて来たの…!」
と、つい、再会の喜びから私が満面の笑みを浮かべた
その時だった。
だばぁっ!!
目の前でいきなり号泣しだす青年。
思わず、ぎょっ!とすると、彼は堰き止めていたものが溢れたように言葉が口から滑り出る。
「ほ、ほ、本当に、俺の妹…?!確かに、昔から可愛かったから美人に成長するのは分かっていたけど…レイシアは修道院で暮らしていたはずだろう?マーゴットはどうした?まさかあのババア、俺との約束を忘れて追い出したんじゃないだろうな…!」
「お、落ち着いてお兄ちゃん…!これには、色々訳があって…」
「お、“お兄ちゃん”んんんん……、っ!」
人生最大の幸せを噛みしめるように、顔を覆ったルヴァーノ。
緩み切った彼は、先ほどまで獣のようにスティグマを狩っていたノスフェラトゥの幹部とはまるで別人だ。
もはや私の言葉は届いていない。



