道路には、黒塗りの車が一台停まっていた。 後部座席に尚貴を乗せ、どこからか戻ってきていた郡山がこちらに向かって歩いてくる。 「今日は、尚貴様が大変お世話になりました」 正面で立ち止まると、丁寧にお辞儀をしてきた。 「いえ、そんな……」 辺りが静まり、すうっと涼しくなったように感じる。