打ち上げはコミケ会場ビッグサイトから二駅ほど離れた飲み屋に現地集合だ。それを尚貴に伝えると、

「車を待たせていまして、もしお嫌でなければ、一緒に行きましょう」

「それ……すごく助かります」

 ということで同乗する流れになった。タクシーはなかなか捕まらないし、一人で乗るとお財布にダメージがあるしで、荷物抱えて大混雑のりんかい線で行くしかないと思っていたのに、非常にラッキーな展開である。

 前を行く郡山に案内され、キャリーバッグをコロコロしながら会場を出る。暑い会場の外には、宅配手続き待ちの待機列がまだ続いていた。荷物を積み込まれた輸送トラックが、蟻のように連なって海沿いを何台も走っていく。そんななかなか普段見ることのできない光景を見ると、ふー今年も夏コミが終わったなーという気分になる。コミケには毎年様々な話題が上り、今年は有名芸能人の誰それが来ていたとか、昔アニメ化した漫画家が作品を出してたとかSNSを賑わすが、愛里の今年のナンバーワンはもちろん今横を歩いている明後日の方向からの刺客のことである。世間知らずの御曹司さん。Twitterには畏れ多くて書けないが、個人的になら一生ネタにできるだろうなと思う。