「うーん……あ! 更新された!」
「おおっ!?」
 タイミングよくサイトが更新され、結果が出たようだ。

「あ……」

 パソコンを前に項垂れる尚貴。

「落選」

 ありゃー。
 愛里は鞄を下ろしてちゃぶ台に原稿用紙を広げながら尋ねる。

「講評はなんて書いてあった?」

 大事なのは、落選した後の行動だ。結果とアドバイスをどれだけ活かせるか。

「話が意味不明、と」
「あ、あはは……」

(辛辣だけど、いえてるかも……)

「他には?」
「イラストは美しいですが、漫画としてもっとメリハリをつけなさい、って」
「なおさんは、そうだね」

 今日の作業を開始する準備をしながら、愛里は勇気づける。

「でも、すごいなあ。私なんて"絵が雑なのでもっと丁寧に"なんて指摘ばっかりなのに、さすがだね」
「僕にはエリンギちゃんの方がすごいと思うよ。だって、丁寧に描きさえすればOKなんでしょう?」
「いや、私は丁寧に描いているつもりだもん……」
「そうなの?」
「う、うん」

 得意分野は人それぞれだ。長所を活かし、短所を減らし、焦らず成長していくしか道はない。

 だが尚貴はさっきから項垂れたまま、なにやら落ち込んでしまっていた。

「はあー……。もう……今日の作業、気力わかないよ……いや、なんでもない。そんなこと言ってどうするんだよ。やろう。やるやる」

 辛い気持ちはよくわかる。でも、早く立ち上がってまた走り出すしかない。
 愛里が作業をしていると、尚貴ものそりと起き上がって、ペンを手に取った。