翌日、愛里が出勤するとともに尚貴は郡山と買い物に出かけた。ちなみに郡山は昨晩はどこか別の場所で泊って、朝に尚貴を迎えに来たのだった。移動手段は郡山の車だ。

「わたくしの運転は、専門の三屋と違って多少、乱暴ですが……平にご容赦ください」

 とか郡山さんは言って、なおさんも「いいよ」なんて許していたけど、

(なんか、私の知ってる家出とちょっと違うなあ……)

 御曹司の家出と言ったら執事が運転手までしてくれるものなんだろうか。
 ちょっぴり釈然としないが、便利なのはいいことなのでそのまま何も言わず出勤する。

 これから尚貴は職探しを始めると言っていた。

 愛里は仕事をしながら、なおさんはいったいどんな仕事をするのだろうかと考えてみた。

 アルバイトでパッと思い浮かぶのはコンビニのレジ打ちとか新聞配達だけど、なおさんには想像もつかなそう。

 やっぱフジタ関係の仕事かな?
 幸い、ここ愛知県にはフジタ関係の仕事なら山ほどある。 

(雇った人、なおさんの正体を知ったらさぞかしびっくりすると思うけどね……)