尚貴の仕事が終わりそうな連絡を受けて出発して、尚貴の帰宅とちょうど同じくらいに到着する。

 九月も終わりに近づき日が短くなってきた頃も、愛里と尚貴はそんな風に平日の夜を過ごしていた。

「ごめん、お待たせエリンギちゃん! 仕事が終わらなくて……」
「おつかれさま、なおさん」

 大抵尚貴の方が仕事の終わりは遅い。愛里は自宅で作業をして待ち、連絡があってから出るとちょうどよく合流できる。

「作業部屋に先に来て、やっててくれてもいいのに」
「さすがにそういうわけにはいかないよ」

 本人不在なのにお邪魔して作業するなんてそこまで図々しくはなれない。

「さ、急いで始めないと時間ない!」
「うんっ」
 
 翌日も仕事だ。往復四十分かかるから、一時間くらいしか作業ができない。二人とも集中して創作に打ち込んでいたら、時間はあっという間だった。