少し水を飲もうとして手を伸ばした時、頭がぐわんと揺れた感じがして、吐き気を覚えた。

「う……ぷ、飲みすぎちゃった。ごめん、なおさん、本当に酔っちゃったみたい」
「大丈夫? 部屋で横になって少し休んで」

 まだまだたくさん飲んでみたかったのに、ここでダウンだ。

 意外にも尚貴は酒に強く、介抱してくれた。

「大丈夫? エリンギちゃん、無理しちゃったみたいだね」
「う……ごめんなさい」
「楽な姿勢で休んで」

 尚貴の私室に戻され、ふわふわのベッドに寝かせてもらう。天蓋を見上げて楽しむ余裕もないくらい酔っぱらっていた。

 尚貴がベッドに腰かけて座り、脇に控えるようにして郡山が立つ。盆には冷たい水が用意されている。

「僕のベッドだけど、変なことはしないよエリンギちゃん」
「うん……郡山さんもいるし、ね」

 尚貴は‟郡山”と言われてああ、と思い出したように彼を振り返る。

「まあ彼はいてもいなくても、僕は好きにするけどね」

 空気のような存在ということだろうか。必要不可欠だけど、そこにあってもあえて見ないし気にしない。

 でも、変なことをする時……にまで郡山さんがいるとか、自分はちょっと気になりすぎて耐えられないような……。

 落ち着かないよ……。

 あと今だって、そんなになるまで飲むなんてレディとしてあるまじき行為だと非難されているような気がするし。