「なおさん、あのね」
 愛里は思い切って口火を切る。

「どうしたの?」

「その……」

 さっきまでの反省を活かし、無理や背伸びをしないで素直に思いを伝えてみようと思うも、どう言ったらいいのか悩んでしまう。

「あのね、今日、すっごく楽しかったの。会えてとっても嬉しかったし。だけど、その……」

 隣に座る尚貴が小首を傾げてこちらを眺めている。

 車は夜の道を名古屋とは逆方向にまっすぐ進んでいく。
 自宅から、どんどん遠ざかっていく。

 自分だって、尚貴の実家なんて喜んで行ってみたい気持ちだ。
 ただ、単純に体力の限界。
 それを、伝えなくては。