尚貴はとても不安そうな表情で、
「ここ、あんまり好みじゃ、なかったかな……?」
 愛里以上に、見るからに自信のない様子で、尋ねてくる。

「ええっ!? そ、それはそんなことないです。とんでもないです! ご、ごめんなさい」

 そんな、そんなそんな、ここを気に入らない人なんて、そんな我儘な人、どんな富豪でもいないと思いますよ!?
 
 愛里が否定して謝っても、目の前の尚貴の顔は晴れない。