「なおさんの、お、お兄さん……ですよね?」
「ん? 取引に来た営業かなんかだと思っていたが、違うのか。なおの知り合い?」
 なおという単語に、秋貴は意外そうにこちらを見つめる。

「おいおい俺のエモノ勝手に取るなよ」
 貴志が割って入ってくる。
(獲物じゃないんですけどっ)
 愛里が反論する間もなく、
「こういうことは、フジタの品位にかかわる」
 貴志に対し、秋貴が厳しく言い切る。
「別になんとでもなるだろ」
「じゃあせめて社員にしろ」
(社員は容認!?)

 いや社員に対しても、襲ったりしたら普通に犯罪だと思うし長男さんもちょっと毒されている人なのかもと思う愛里だったが、たしかに貴志の隣に侍る女たちはまんざらでもない感じだったし、ここではそうなの……かもしれない。