黙り込んでしまった尚貴をそっと見上げる。綺麗なその瞳に浮かんでいるのは、痛みと悔しさと畏れ……に見えた。 尚貴が愛里の視線に気付いてこちらを向く。 「ごめんなさい、エリンギちゃん」 そう言って、尚貴は愛里の手を握った。 (わ……!) 真っ白な長い指がひんやりと愛里の右手を掴み、もう片方の手も添えて包まれる。