愛里は浮足立つ足で一階に降りると、棚からレシピ本を取り出して、クッキーを作り始めた。クッキーを作るぐらいの材料は買いに行かなくとも揃っている。作り終える頃には、返事があるだろうか。

 こねては新着メール問い合わせ。
 型抜いては新着メール問い合わせ。
 焼いては新着メール問い合わせ。
 
(来ないなあ)

 出来上がったクッキーを一人寂しく食べながら、愛里はまたメールの新着問い合わせを繰り返していた。
 クッキーは家族にあげるつもりだったのに、そのまま一人で全部食べてしまった。

 こりゃ、太っちゃうな。
 まあいっか。
 メール来ないし。