そんなこと考えていると、またスマートフォンが振動したので、どきどきしながら急いで確認する。

 ただのアプリの更新通知だった。
 唇を尖らせ、作業に戻る。

 結局その日は連絡がないまま帰宅することになった。
 スマートフォンが振動するたびに胸がどきどきするから、ひどく疲れてしまった。
 通知はきっとあの尚貴が描いた繊細優美なイラストのアイコンで表示されるだろう。

(……あっ、そういえば)

 愛里はここでふと、大事なことを思い出した。

 心臓がまたもや早鐘のように鳴り始める。

 荷解きはいつも次の日にやると決めて眠るから、うっかり忘れていた。

(なおさんから買った漫画が、あった)