そして家柄の恐ろしさは置いておくとしても、本人は少しも悪い人ではなかった。なんとなくそれは断言できた。過保護だと自分で言っていたけど、大切に大切に守られてきたのだと思う。 スマートフォンが振動するたびに、作業の手を止めて、人目を忍んで密かに確認する。 連絡はなかった。 もしかしたらまだ寝ているのかもしれないとも思った。 きっと慣れないことばかりで疲れただろうし。