「こっくりさん、こっくりさん。 
 どうぞおいでください」

あの日はやけに風が強い日で、先日満開になったばかりの桜が風に吹かれていたのをよく覚えている。

「もしおいでになられたら、”はい”へお進み下さい」

別に、理由があったわけじゃない。
なんとなく。そう、なんとなくだった。
しいて言うなら少しの好奇心と、ほんの少しの...期待。

「俺を呼んだのはお前?」

今思えば我ながら馬鹿な事をしたと思う。

「お前ぐらいの子供の肉は柔らかくてな、それはそれは美味いんだよ」

過去の自分に会えるなら、自分の愚考をぶん殴ってでも止めるだろう。

「俺に名前を頂戴?」

嗚呼、さようなら。私の平穏ライフよ...