「…透……ありがとう!」


「ちょっ!蛍…!?」


あろうことか、蛍は俺にお礼を言ったと思ったらそのまま抱きついてきた。


腕の中にいる蛍は俺の胸に顔を押し付ける。


…まだ離れる気はないようだ。


俺はゆっくりと蛍の背中に手を回し、蛍の髪を梳く。


なんか柔らかいし、いい匂いする…。


それに髪の毛サラサラで指通りいいな。


「いや〜透にもやっと春が来たかのかねぇ。」


「あぁ。」


後ろから美乃里を筆頭に笑いを含んだ声が聞こえる。


普段ならツッコムところだが今はそれどころじゃない。


「蛍…?そろそろ落ち着いたか?」


「・・・」


蛍はゆっくり俺から離れるとコクンと頷いた。


表情は見えないけどチラッと見えた耳が真っ赤に染まっている。


それを見て思わず笑いが零れるのと同時に柔らかな温もりが離れ、俺は寂しさを覚えた。


「改めて…蛍。なんで盗聴器仕掛けたのが愛澤だと思ったのか教えてくれ。」