自分たちの無力さを嘆いたあの日のように。
その声に意識が浮上したようにハッとなる。
「悪りぃ…ちょっと感情的になりすぎた。」
いつの間にか握りしめていた拳を緩めると手のひらには爪のあとがくっきり残っていた。
…どんだけ強く握りしめてんだよ。
「…俺も、まだまだ弱いな。」
自分に呆れて呟いたその言葉を昴は聞こえないフリをしてくれた。
「着いたぞ。このマンション、だよな?」
「あぁ、アイツらもうロビーで待ってるって。」
「相変わらず行動早いな。」
「だな。」
俺たちは車を降りマンションに入る。
「あ、昴と透来た!」
最初に俺たちに気づいたのはロビーで待ってる三人の中でただ一人の女。
その女は俺たちにブンブン手を振ってる。
…素通りしたい。
「ほら透行くぞ。」
しかしそんなこと許してくれないのが隣にいるこの男。
俺は諦めて三人の近くに行く。


