[はい!任せてください!あ、ありがとうございます。]
[透、それは?]
[盗聴器の音を拾わせないようにする機械だ。別に盗聴器が壊れるわけじゃないから気づかれない。]
[そんなのあるなら最初から使えばスマホで会話なんて面倒くさいことしなくてよかったんじゃないの?]
[念には念を入れてだ。妨害っていっても何言ってるかは分からないが相手に声が聞こえる場合があるから。だから車の中でも喋るなよ?]
[そうなんだ、わかった。]
[じゃあ先に出ろ。]
俺は理事長室のドアを静かに開けた。
確かにもう人はいないらしく朝、ものすごく騒がしかった廊下は静寂に包まれていた。
蛍、そして続いて春樹が理事長室を出る。
[透たちは行かないの?]
俺より背が低い蛍は自然と上目遣いになる。
[俺らは後で行く。]
俺がスマホを見せながら頭を撫でると蛍は頷いて前を行く春樹を追いかけた。
俺はそのうしろ姿を見送り理事長室のドアを閉めた。


